バイトヘル2010

友達から聞いた遠いお国のお話。
細かいディテールは少し間違ってるところもあると思う。


友達はこの間まで仕事を辞めて実家暮らしの無職で求職中が長く、さすがに親のすねをかじるのもよろしくないと思い、近所のパン工場でバイトを始めたところ、とんでもない場所だったと聞かされた。
まとめサイトで見た記事は本当に事実なんだと思った。


食品工場で衛生上の問題があるので、パナウェーブ研究所と似たようなユニフォームを着せられ作業を開始し、まずはラインから流れてくる洋なしが乗った洋菓子に刷毛で砂糖水を塗る作業を行っていると、少し間違うだけでも凄い勢いで怒鳴られる。自分だけが怒鳴られたのかと思うと、マンゴーのラインや方々のラインでも怒鳴り声が聞こえる。
同じく洋菓子のラインでチョコを上からパラパラまぶしていると、また怒鳴られる。


次は袋に入ったロールケーキが次々流れて来るので、それをひたすら積み上げる作業を行うが、凄い勢いで流れてくるのと慣れないのも相まって、作業がもたつくと、またしても工場のラインのスピードばりに凄い勢いで怒鳴られる。
もちろんその間も他のラインの人々は凄い勢いで怒鳴られるが、その光景は当たり前になってくる。
何が悲しいかと言うと、自分の祖父母ぐらいの年齢の人も怒鳴られてるのは本当に悲しい風景。


仕事の初日で全くわからないので周りの人に聞くが無視される。
何がなんやら分からないままお昼になるので、食堂に向かうがすれ違う人に挨拶をすると無視。


みんな殺伐とした暗い雰囲気で、本人曰く「働いてる人の人格が怖い」とのこと。
友達とは付き合いが長いが、6年ぐらい付き合ってるが怒ってるのを見たことがないの人格者。


本人も自分で
「俺って普段全然怒らないでしょ?その俺が人を殴ろうと思ったぐらい異常。」
と、話してたので本当に何かがおかしい職場なんだと思った。


当たり前の話で、どんな賃金でも給与体系だったとしても、従業員を大切にしない会社は最低だ。
働く人がいるから、企業は売り上げが上がると小学生でも理解できる話だ。
普段温厚な知人が切れるくらいなのでよっぽど狂った職場だと思う。
これを地獄と言わず何と表現して良いのかわからない。


大人は何かにつけては「生きてく為には労働が必要だ」と言う。
言ってることは全くもって正論。自分も大人になって子供がいれば確実に言う。
でも、将来に希望を持てというが、ただの無責任で、人生は夢破れた時どうするべきか、また夢が無くて下らない仕事に就いたとしても、ちゃんと9時5時で働き、お給料をもらい毎日の生活に対する充実感があり、死なずに生きて行くのも人生だと教えることが本当の教育ではないかと思う。
普通に生きて、夢もそんなに無くて、最後に残った砦がこんなパン工場なら死ねってこと?能力が低ければ人間って怒鳴られ続けられるの?なんか全然納得も理解もできないし、能力が有れば高給をもらえる事は喜ばしいが、無ければ虐げられる社会なら喜んで自殺する。


それ以来、コンビニでパンを購入する場合には必ず裏に記載してある製造元を調べてから購入している。
消費者にできる最低限のささやかな反抗だとしても、これからも続けようと思う。